【LIFE MAKERSな人々。Vol.7】 SNS時代は"情報の蛸壺化"が危険?! メンバーが語る、佐々木俊尚ビジネスサロン「LIFE MAKERS」で得られる本当の価値とは?

2016.10.09 | INTERVIEW

【LIFE MAKERSな人々。Vol.7】

 SNS時代は"情報の蛸壺化"が危険?! メンバーが語る、佐々木俊尚ビジネスサロン「LIFE MAKERS」で得られる本当の価値とは?

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 佐々木俊尚が主宰するビジネスサロン「LIFE MAKERS」。豪華ゲストをお招きしての月2回のトークイベントに、1万文字以上の読み応え十分のインタビュー記事の定期配信、山登りや生け花、料理などのスペシャルイベントなど、充実したコンテンツが魅力です。

 今回は主要メンバーの石川ひとみさんに、今までのトークイベントで学んだことを振り返りながら、LIFE MAKERSで得られる価値についてお話を聞かせてもらいました。ただの感想ではなく、今を充実して生きる上でどのようなことが必要なのか? や、佐々木さんがどうやって良質な本と出会っているのか? など興味深い話が詰まっておりますので、ぜひご一読くださいませ!

 

<プロフィール>

石川ひとみ

渋谷区生まれ。CM制作→製造業向けコンサル→ITコンサル→広告関係の公益社団法人と3回の転職を経験。「企業に対する心の株価をあげる」ことができる広告をやっぱり仕事にしていきたいと気づくのに10年かかる。 仕事にもつながる幅広い視野を得たいと考えてLIFE MAKERSに参加。 趣味は読書、料理、仏像や宇宙。好きな作家は谷崎潤一郎と、昔も今もやっぱり村上春樹。

 


 

「生物と機械が融合して別のネイチャーになっていく

ということは十分にあり得る」

 

石:LIFE MAKERSのゲストの方はもちろん皆さん印象的なのですが、その中でも特にということであれば何人かいらっしゃいます。まずは落合陽一さんですね。

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佐:今までで一番ぶっ飛んでいる人かもしれない。はたしてみんな、どれくらい話についてこれたんだろうかっていう。

 

石:そうですね。落合さんの場合は、「落合さんが何を言っているかを正しく理解する」っていうのが自分の中の一つのゴールだったので、まずはそこを目指しました(笑)。

 

佐:未来の確固たるイメージを皮膚感覚でワーッと伝えてくれたんだけど、その感覚についてこれないと、難しかったかもしれない。ロジカルだけでは理解できない部分もあるから。

 

石:だから良い修行になりました。

 

佐:どこがおもしろかった?

 

石:テクノロジーを駆使して表現活動や仕事をされているのに、ご自分の命題は「プラットホームやネットの同調圧力から抜け出るようなことだ」とおっしゃっていたのが印象的でした。

 

佐:すべての構造はプラットホームになっていくというのは、ある意味最近の共通理念としてあって。たいていの場合はプラットホームを目指したがる。でもそんなものは容易ではなくて...。そうするとだいたい落ち着くところは、プラットホームとの関係をどううまく作っていくのか、っていうところになる。

 でも例えばGoogleなんていうのは、Windowsとインターネットエクスプローラーが幅を利かせてMicrosoft帝国って言われていたところから出発して、気が付いたらそれを崩してプラットホームになった訳だから、どこかで現状を突破しなきゃいけないんだよね。ただ落合さんの場合は、あえてプラットホームを目指すんではなくて、プラットホームの外側に出るっていう立ち位置を目指しているというのが興味深いよね。

 

石:そうですね、そこまで目指すっていう発想自体がやっぱりすごい。今私たちっていかにプラットホームを効率よく使って自分が恩恵を得るか、みたいな発想しかなくて。「そうじゃない」って言い切ったところがすごいと思いました。

 

佐:アーティストの役割ってそういうことなのかなって改めて考えたよ。あと面白いなと思ったのが、「デジタルネイチャー」っていう話をしていて。我々にとってのアナログとデジタルの感覚って、実は間違っているんじゃないか、という指摘で。

 

石:私たちが生きてる世界が仮想ではないとは言い切れない、みたいなことを言ってましたね。

 

佐:そういう考え方は宇宙物理学的に言えば、あり得なくはないだろうけど。例えば昆虫って意識がないじゃない。

 

石:本能しかない?

 

佐:そう。あれは一個の自律的な機械と捉えることもできる。こういうアクションを投げ込んだらこういう反応が返ってくるっていう、入出力装置でしかない訳で。ただ自律的に動いてるから、生命なんだけど。

 

石:昆虫と私たちの違いって...となりますよね。

 

佐:そこはもう意識の存在だけでしょ。そう考えると、それが機械と合体して別の自然っていうか、ネイチャーになっていくみたいなことは十分にあり得るよね。

 

石:でも私とチンパンジーの間には差もあり...、みたいなこともありますし、難しいですね、解釈が。今度ぜひ自然科学に詳しいゲストの方を呼んで、そのあたりを議論してもらいたいです。福岡伸一さんとか呼びましょうよ。

 

佐:福岡伸一さん、いいね。脳の話とか聞きたいね。他には誰がおもしろかった?

 

テクノロジーと人間社会が

密接に繋がってるという話は面白い」

 

石:そうですね、次はBuzzFeedの古田大輔さんです。古田さんの場合は人柄がわかったのがすごくよかったですね。

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佐:新聞記者らしからぬ柔らかい感じの。

 

石:柔らかく明るくてポジティブな。その古田さんの人柄がBuzzFeedっていうメディアの運営にどんな影響を与えるのかな? みたいなことを考えて、それがイメージできたんですよ。

 

佐:だいたい新興メディアに、新聞記者とかテレビ局通信社出身者がいくと失敗しがち。彼ら、超上から目線ですからね...。だから古田さんのような感覚の人たちが現れて新興メディアを作るっていうのは、やっぱり過去にない事例なのかなと。

 

石:まずわからないことを、ちゃんとわかんないこととして捉える。それを取材して記事にしてみると、考えが変わっていくかもしれない、みたいなことを素直におっしゃっていて。すごくオープンな考えの方だなと思いました。

 

佐:ただ情報を集めてキュレーションするだけではなく、みんなが興味のあることはまずフットワーク軽く聞きに行って、ちゃんと独自の解釈で記事にするというね。BuzzFeedって確かにそういうスタンスでやっていて、その感覚がいいよね。ジャーナリズムの原点といえばそうなんだけど。

 

石:私も結構スマートニュースのアプリでBuzzFeedを見てるんですけど、やっぱり面白いですね。単なる垂れ流しを文章にした記事じゃなくて、ちゃんと独自の視点や解釈があって、すごいなと思って読んでいます。

 

佐:すごく可能性を感じるよね。

 

石:他の分散型のWEBメディアとはレベルが違う感じがしています。

 

佐:他はどうですか。

 

石:あとはですね、著書にサインももらった矢野和男さん。

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佐:矢野和男さんね。『データの見えざる手』を読んでからすごく好きで、ずっと呼びたいと思っていたんだけど、ビッグデータ系の話はみんなそこまで興味を持たないんじゃないかと思っていて。でも蓋を開けてみたら、大人気でびっくりしました。

 

石:仮説に対して実際にご自身が機器をつけて生活し、ビッグデータ化していくというアプローチがすごいですよね。実際にあの本は友達にも激推ししました。

 

佐:ビッグデータっていうと非人間的な話になりがちなんだけど、実はビッグデータこそもっとも人間的なファクターがある、という解釈が素晴らしいですよね。一番感銘を受けたのは、一見役に立ってなさそうな窓際の課長さんみたいな人でも、実は役に立ってる可能性があるっていうのを数値化して示した話。あれはすごいね。成果主義の壁みたいなものを、実は突破できるんじゃないかという。

 

石:ご自身の研究を自分の学術テーマとして閉じ込めて深めるのではなく、組織や企業の生産性とか、すごく社会的なところに使おうとされている志に感動しました。

 

佐:やっぱりああいう、社会に役に立つようなことをしっかりとやっている人に会うと、生き生きしてるよね。

 

石:生き生きしてましたよね。ちょっと研究所の見習いで入りたいなと思いました(笑)。

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佐:ビッグデータの話で、あんなにわかりやすい本は今までなかったんじゃないかな。ネイト・シルバーの「シグナル&ノイズ 天才データアナリストの『予想学』」っていう、ビッグデータ関連では有名な本があるんだけど、ちっとも面白くなかった...。やっぱりああいうサイエンティフィックな話っていうか、テクノロジーに特化した話と人間社会が密接に繋がってるという話っていうのは面白いよね。

 

「日常生活の視野だけでは、

情報が蛸壺化していく危機感を持っている」

 

石:ちなみに佐々木さんは、矢野さんの本をどこで見つけられたのですか? そこに興味があります。良い本との出会い方というか。

 

佐:基本はネットですよ。本屋にはもう2年くらい行ってない。毎日膨大な量のフィードを読んでるので、その中に本を紹介してる記事って結構たくさんあって。そうするとそれだけで1日1冊くらいは引っかかってくる。で、すぐに買うときりがないから、とりあえずアマゾンのカートに入れておいて、3日くらい放置してやっぱり読みたいと思えるものだけを買う、という流れ。

 

石:なるほど、ネットの書評がやっぱり参考になるんですね。LIFE MAKERSのゲストの方はどのように選んでいるんですか?

 

佐:やっぱりいい意味で"変な人"をどこでみつけてくるのかっていうのが大切で。マス受けのする人は他でも見れるから、有名、無名は関係なく、いかに独自の鋭い視点を持って先を見据えてらっしゃるか、っていうところが重要で。

 

石:私は日々生活をしていて、自分が興味を持っていなかった分野の人といかに出会えるようにするかが、勝負だと思っているんです。SNSを多用するようになって、それ故に情報の蛸壺化を感じているので...。

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佐:どうしても自分の分野に引きこもってしまう傾向はあるよね。Webの業界にいるともうWebのことしか知らない、というような。大学なんかはもう典型で。専門分野に入っちゃうと、その分野のことしか話さない。だから例えば、政治学の本を読んでも、この視点面白いから、もっとこの分野と結びつけて考えれば広がるかも?! という風に、大きな視点で語れるのにって思うんだけど、なかなかみんな狭くて。

 

石:そうなんですよね。特に今は何でも細分化されてしまっているので、その細い部分を深く掘ってもな、とは思います。

 

佐:そうするとあんまり広くも読まれないし、気づかれにくい。せっかくいい本を書いたのに埋もれて消えていく、っていうのが非常に多い気がしています。

 

石:そうですよね。LIFE MAKERSでも、もともと自分が持っている興味関心の外にある分野の方の回に行くほど、面白い気づきがあります。仏教の山下良道先生の回も興味深かったです。なかなか普段、宗教について考える機会もないので。

Ryodo-sensei-1.JPG 佐:もちろんマインドフルネスの話が取っ掛かりとしてはあるんだけど、ああいう新しい考え方、宗教の突破口みたいなものは、実際に今の時代には重要だよねっていう、問題意識が必要なのかなって。

 

石:本当にそういうのは、新聞を読んでいるだけだとわからないですよね。今は情報ソースが膨大でしかも分散されているので、昔みたいにとりあえずニュース番組と新聞を読んでおけばいい、みたいなことではないので。

 

佐:山下良道先生とのトークの中で面白いと思ったのは、「今のお寺は、病院に行っているのに建物だけを見ているようなものだ」っていう話。

 

石:病院に行ってるのに、治療を受けてないってことですよね。

 

佐:そう。本来お寺っていうのは救われるために行くはずなのに、それを誰も求めてないし、お寺側も提供していないのはおかしいんじゃないかっていう。

 

石:おかしいですよね。

 

佐:お寺は単なる名所旧跡になっている、というね。あとは仏教以外のキリスト教やイスラム教などすべてを統一し得るっていう発想も興味深かった。我々自身とは何かっていう、我々自身の根幹を問うというのがあの先生の考え方で。それは宗教にとって長い年月のテーマであり続けたんだけど、今の現状だとある程度の共通認識を他の宗教同士でも持ち得るんじゃないかっていう。

 

石:すごい発想ですよね。

 

佐:そもそもずっと日本にいた訳じゃなく、アメリカで長い間生活した後、ミャンマーに渡っているから、発想がグローバルなんだよね。インターネットも使いこなしてらっしゃるし。

 

石:こういう話になると、もうまったく自分の中で圏外だったことが分かります。日常生活だけでは本当に情報が蛸壺化してしまっていることに危機感を持ちますね。

 

 

「旧来の価値観ではない、大学でもない

アカデミズムが必要になりそう」

 

佐:社会とかビジネスとか含めて、いろいろな文化圏と自分との導線をどう引いていくのかっていうのがやっぱり大事で。これをやると役立つ、とかそういう話じゃなくてね。

 

石:今って「どのくらいインプットしたら、どんなアウトプットがもらえますか?」って、あまりにも短絡的に求めすぎじゃないですか。ビジネス書とか、ネットメディアの論調にしても。

 

佐:すぐに答えが書いてないとダメっていうね。そういう人が多いよね。

 

石:あまりにも足腰が弱すぎるというか。

 

佐:やっぱり自分の中のバッググラウンドをどれだけ持てるのかっていうのは大事で。今まで自分の視界に入ってなかったものが現れてきた時に、どう受け入れて、どう自分の中で変化させていくか、そうやって自分の広げる手を大きくしていくべきで。

 

石:そうだと思います。私も短期的に何かに効くとか、メリットを得たいと思って、LIFE MAKERSに参加している訳ではないので。今の時代にこの言葉は流行らないですけど、言ってしまえば「教養」でしょうか。自分の骨を太くしたいという思いがあってここにきています。

 

佐:そうだよね、「教養」ってことになるよね。

 

石:ちょっとなんだか恥ずかしいですけど。

 

佐:近代の枠組みが今すごい勢いで崩壊していて、新しい21世紀的な考え方がこれから徐々に固まっていくという移行期に、じゃあどうやって物事を捉えていくかを意識しないといけなくて。そこはやっぱり「教養」というか、たくさんの質の良い情報を持っておいて、それをもとに捉えるっていうことになるよね。

 

石:そうですね。そういう情報を得て、学べる場所って、なかなかありそうでないですよね。

 

佐:だからLIFE MAKERSでは、なるべくビジネスからライフスタイルまで横断的にやっていこうと思っていて。さっき石川さんが言ってたように、自然科学系も学んだ方が良いと思うし、8月には国際政治学者の三浦瑠麗さんをお招きして、政治のトークセッション開催しましたし。

もちろん年配のアカデミズムな人はたくさんいるんだけど、軸が少し古い場合が多いんだよね...。そういう軸だと到底、落合陽一さんのような世界観は見えてこない。山下良道先生の話にしても、法事の後などにお坊さんがちょっとするありがたい話とはぜんぜん違う次元の話な訳で。

 

石:そうなんですよね。旧来の価値観ではない、大学でもないアカデミズムが必要になりそうですよね。

 

佐:例えばテレビで情報を得ようとしても、今この瞬間に面白いかどうか、ワッと場が盛り上がるかどうか、しか考えていない切り口や人選だったりして。本当に出演者の知見が素晴らしいかどうかはどうでもよくて。あとからジワっと、そうだったのかって気づくような価値は得られないんですよ。

 

石:あと今ってあんまりにもいろんな物事が複雑になりすぎて、情報量も爆発しちゃっているので、どんなことでも頼りになる万能の人的な人がなかなかいなくて。このジャンルには、この人が信頼できそうだ、という風にテーマごとに対応していく感じってありません?

 

佐:そうだね。70年代くらいまでは「論壇」っていうのがあって、例えば有名なとこでいうと竹村健一とか、政治学者の丸山眞男とかわりと重鎮がいて。その人たちがあらゆる物事に影響力があるような感じだった。

 そこからテレビが台頭してくると、ニュース番組が世論の形成に役割を担っていって。その中心になったのが久米宏とか筑紫哲也とかね。ただ彼らがもの凄くアカデミックだったのか、とういうと...で。すべては取材現場で学べみたいな、本を読んでいる人を馬鹿にするような風潮が少なからずあって。結局そうなると、取材をしなくなった瞬間に訳がわかんなくなるんですよ。最近では嵐の櫻井くんとか長島一茂などのテレビタレントが、その役割りを担う感じになってきていて。それで本当にカバーできるの?っていう状態になってしまっている...。ちょっと違うよね。

 

石:なんか極端っていうか、適切な真ん中の人がいませんよね。

 

佐:だから結局、分野ごとに信頼できる人、発信者を見つけていくことが大事になってくる。

 

石:まずはそこからですよね。

 

佐:LIFE MAKERSがそこを、僕の勝手な判断基準で「この人に」っていう風になればと思っています。

 

石:それはすごくありがたいです。なかなか自分だけでは判断できない部分があるので。あと自分が知らないことを勉強するのも重要なんですけど、同時に、知らなくていいことに無駄に時間を使わないっていうのも重要じゃないですか。取捨選択をうまくできる人になりたいなって。

 

佐:ゴシップのニュースばかり見てない? あれは時間の無駄でしかない(笑)。ただそこは微妙に難しいところもあって。例えばポケモンGOとかさ、時間の無駄になるからまったくやらないっていうのは、それはそれでARの可能性を考える機会を失っている、ともいえる。やっぱりやった方がいいよなって。

 まぁ新しいWEBサービスが出てくると、まずはアカウントを取るっていうのも大事。それをやるかどうかはその時の勢いで。

 

石:なるほど。興味を持ったことには新しい体験をしてみるっていうのも重要ですね。そこのバランスもチューニングしていけば、効率的かつ本当に必要な情報が得られるようになりますね。佐々木さん、LIFE MAKERSで引き続きお世話になります、よろしくお願いします!

 

佐:こちらこそいつもありがとう。そこの価値を出せるように考えながら進めていくよ。今後ともよろしく。

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